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東京高等裁判所 昭和57年(行コ)235号 判決 1983年2月26日

東京都三鷹市井口三五七番地

控訴人

榎本武男

東京都千代田区霞が関三丁目一番一号

被控訴人

国税不服審判所長

林信一

右指定代理人

小田泰機

屋敷一男

小笠原英之

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人が昭和四九年一〇月一六日なした控訴人の審査請求を棄却する旨の裁決を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張は、次のとおり付加するほかは原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

控訴人は、本件裁決後控訴人において被控訴人に対し、右裁決処分の内容につき釈明を求めたが応答がないため、やむを得ず昭和五〇年一月一六日、右裁決により維持された武蔵野税務署長の昭和四七年分所得税の更正処分及び重加税の賦課決定処分の取消請求訴訟を提起し、雨来七年間にわたって争訟してきたもので、控訴人に期間の徒過はないと述べ、被控訴人は、控訴人の右主張は争うと述べた。

理由

一  当裁判所も本件訴えは不適法なものと判断するものであり、その理由は次に付加するほかは原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

控訴人は、被控訴人が本件裁決処分の内容についての控訴人の釈明に対して応答しないためやむを得ず原処分の取消請求訴訟を提起し、雨来七年間にわたって争訟を続けてきたもので、控訴人に期間の徒過はない旨主張するが、仮に右釈明に対する不応答、訴訟の提起、続行が事実であるとしても、本件裁決取消訴訟について期間を徒過したことに変りはなく、また期間の徒過につき控訴人の責めに帰すべからざる事由にはあたらないものといわざるを得ないから、右主張は採用できない。

二  したがって、本件訴えは不適法として却下すべきであり、これと結論を同じくする原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小堀勇 裁判官 小川昭二郎 裁判官 山崎健二)

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